2025/12/06 (更新日:2025/12/06)
なぜあなたの腰痛は治らないのか?
こんにちは。院長の髙子です。私はこれまで、自身の整骨院で数多くの腰痛患者さんと向き合ってきました。
その中で、ある共通の、そして衝撃的な事実に気づきました。それは、
腰痛に悩む人の多くが、痛みの「本当の原因」にアプローチできていない、ということです。

「腰痛は国民病」と言われ、日本には3,000万人もの腰痛患者さんがいると推定されています。マッサージ、整体、湿布、痛み止め…。様々な治療法を試しては、その場しのぎの効果に一喜一憂し、根本的な解決に至らないまま、時間とお金を浪費してしまっている。そんな「腰痛難民」とも言える方々を、私は数え切れないほど見てきました。
なぜ、あなたの腰痛は治らないのでしょうか?
その答えは、非常にシンプルです。痛む場所と、痛みの原因となっている場所は、必ずしも一致しないからです。多くの人が「腰」そのものに問題があると考え、腰を揉んだり、温めたりします。しかし、特に現代人の腰痛、とりわけ「座りすぎ」によって引き起こされる腰痛の根本原因は、まったく別の場所にあるのです。
私の長年の臨床経験から、その原因の9割は「腸腰筋(ちょうようきん)」という筋肉にあると確信しています。

この記事では、私が執筆した
の内容に基づき、なぜ腸腰筋があなたの腰痛の根本原因なのか、そして、
その問題を解決するための誰にでもできる簡単なセルフケア方法について、著者である私自身の言葉で、
詳しく、そして情熱をもってお伝えしたいと思います。
もし、あなたが長年の腰痛に本気で終止符を打ちたいと願うなら、どうかこのまま読み進めてください。
この記事を読み終える頃には、あなたの腰痛に対する考え方は180度変わり、希望の光が見えてくるはずです。
あなたの腰痛の「犯人」は、腰にはいない!
では、あなたの腰痛の真犯人である「腸腰筋」とは、一体何者なのでしょうか。
腸腰筋とは、専門的に言うと「大腰筋」「小腰筋」「腸骨筋」という3つの筋肉の総称です。
背骨の腰のあたり(腰椎)から始まり、骨盤の内側を通り抜け、太ももの骨の付け根(大腿骨小転子)に付着しています。

簡単に言えば、上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉であり、インナーマッスルの中でも最も重要で、最もパワフルな筋肉の一つです。
私たちが歩いたり、走ったり、階段を上ったり、あるいはただ立っているだけでも、この腸腰筋は常に働き、姿勢を安定させてくれています。
まさに「身体の要」と言える存在です。
しかし、この非常に重要な腸腰筋が、現代人のライフスタイルによって悲鳴を上げています。
その最大の原因が、何を隠そう「座りすぎ」なのです。
椅子に座っているとき、私たちの股関節は常に屈曲した状態にあります。
これは、腸腰筋が常に縮こまっている状態を意味します。1時間、2時間ならまだしも、1日の大半をデスクワークで過ごすとなると、腸腰筋は何時間も、何日も、何年も縮こまったまま放置されることになります。
筋肉は、使わなければ衰え、動かさなければ硬くなります。
長時間縮こまったままの腸腰筋は、徐々にその柔軟性を失い、まるで古い乾いたゴムのように硬く、
伸び縮みできなくなってしまいます。私はこの状態を「腸腰筋の拘縮(こうしゅく)」と呼んでいます。
そして、この「腸腰筋の拘縮」こそが、ドミノ倒しのように次々と身体の不調を引き起こし、
最終的にあなたの腰に激しい痛みを引き起こすのです。
腸腰筋が硬いと、なぜ腰が痛くなるのか? 負の連鎖の始まり
硬くなった腸腰筋が、どのようにして腰痛を引き起こすのか。そのメカニズムを、少し専門的になりますが、分かりやすく解説します。
これは、あなたの身体の中で実際に起きていることです。
1.骨盤が歪む(後傾する) 硬くなった腸腰筋は、付着している背骨(腰椎)を前下方へと引っ張ります。
その結果、バランスを取ろうとして骨盤全体が後ろに倒れ込みます。これが「骨盤の後傾」です。
骨盤が後傾すると、本来ゆるやかなS字カーブを描いているはずの背骨のアーチが失われ、
腰椎に常に過剰な圧力がかかり続けることになります。これが、腰の重だるさや鈍い痛みの直接的な原因です。
2.“サボる”筋肉と“頑張りすぎる”筋肉 腸腰筋が硬くなって正常に機能しなくなると、その仕事を他の筋肉が肩代わりしようとします。
特に、腰の深層部にある腰方形筋や、背中を支える脊柱起立筋などが、本来の役割以上に頑張りすぎてしまいます。
この「過重労働」が、腰や背中の慢性的な張りやコリ、痛みを引き起こすのです。
3.血行不良による痛みとこりの悪化 筋肉は硬くなると、その中を通っている血管を圧迫します。これにより、
腰周りの血行が悪くなり、筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなります。
同時に、疲労物質や痛みを発する物質が排出されにくくなり、どんどん蓄積していきます。
これが、何をしても取れない頑固なこりや、ズキズキとした痛みの正体です。
4.神経への圧迫(しびれの原因) 腸腰筋のすぐ近くには、お尻や足へとつながる重要な神経の束が通っています。
硬く分厚くなった腸腰筋がこれらの神経を圧迫すると、腰痛だけでなく、お尻から太もも、
ふくらはぎにかけてのしびれや痛み、いわゆる坐骨神経痛のような症状を引き起こすことも少なくありません。
このように、すべての始まりは「腸腰筋の拘縮」にあります。腰を揉んでも、湿布を貼っても痛みがぶり返すのは、
根本原因である腸腰筋にアプローチできていないからです。蛇口が開きっぱなしなのに、床にこぼれた水を拭いているようなものなのです。本当に必要なのは、蛇口を閉めること、つまり硬くなった腸腰筋を解放してあげることなのです。
1日たった1分!硬くなった腸腰筋を解放する「シェー体操」
では、どうすれば硬くなった腸腰筋を、安全かつ効果的に解放することができるのでしょうか。
私の著書では、そのためのセルフケア方法をいくつかご紹介していますが、今回はその中でも特に基本となる「シェー体操」をご紹介します。これは、私が長年の臨床経験の中で考案した、寝ながらにして腸腰筋をダイレクトにストレッチできる、非常に効果的な体操です。
なぜ「シェー体操」というユニークな名前なのかというと、体操のフィニッシュポーズが、往年のギャグ「シェー」のポーズに似ているからです。少しふざけた名前かもしれませんが、その効果は本物です。楽しみながら、ぜひ実践してみてください。
「シェー体操」の具体的なやり方
準備するものは、何もありません。寝る前のベッドの上や、リビングの床など、仰向けになれるスペースがあれば十分です。
1.仰向けになる まず、仰向けに寝て、両足を肩幅くらいに開きます。両膝を立て、リラックスしましょう。両腕は体の横に置き、手のひらは床に向けます。
2.両膝を倒す 両膝をそろえたまま、ゆっくりと右側に倒していきます。このとき、顔は膝と反対の左側を向くと、より効果的です。ゆっくりと鼻から息を吸い込み、口から吐く腹式呼吸を数回繰り返しましょう。
3.足を乗せる 次に、右足を左膝の上に軽く乗せます。このとき、右足の重みで左膝が床に近づき、左側の腰から股関節にかけてが心地よく伸びるのを感じてください。右足で左膝を強く押さえつける必要はありません。あくまで自然な重みを利用します。
4.「シェー」のポーズでフィニッシュ! 最後に、左手を頭の上に伸ばし、脇腹から体側全体のラインを気持ちよく伸ばします。右腕はリラックスしたままお腹の上に乗せておきましょう。これが「シェー」のポーズです。腹式呼吸を続けながら、左側の腸腰筋がじっくりと伸びているのを感じてください。この状態で30秒間キープします。
5.反対側も同様に ゆっくりと基本の姿勢に戻り、今度は反対側も同様に行います。両膝を左に倒し、左足を右膝の上に乗せ、右手を頭の上に伸ばして「シェー」のポーズ。こちらも30秒間キープします。
実践のポイント
•呼吸を止めないこと:ストレッチ中は、常にゆっくりとした深い腹式呼吸を意識してください。
息を吐くときに、筋肉は最もリラックスし、伸びやすくなります。
•痛みを我慢しないこと:「痛気持ちいい」と感じる範囲がベストです。もし鋭い痛みを感じる場合は、すぐに中止してください。
•毎日続けること:最も大切なのは、継続です。1日たった1分(左右合わせて)で構いません。
特に、長時間座った後やお風呂上がり、寝る前など、身体が温まっている時に行うのがおすすめです。
この「シェー体操」を毎日続けることで、硬く縮こまっていたあなたの腸腰筋は、
徐々に本来の柔軟性を取り戻していきます。すると、骨盤の位置が正常に戻り、腰にかかっていた負担が軽減され、
長年あなたを悩ませてきた腰痛が、嘘のように軽くなっていくのを実感できるはずです。
あなたはどのタイプ? 1分でできる「座りすぎ腰痛」セルフ診断
根本的な改善を目指す上で、まず「敵を知る」こと、つまりご自身の身体の状態を客観的に把握することが非常に重要です。
そこで、私の書籍でも詳しく解説している、ご自宅で簡単にできるセルフ診断法をご紹介します。
ご自身の腰痛が、腸腰筋の硬化によって引き起こされている「座りすぎ腰痛」の可能性が高いかどうか、チェックしてみましょう。
診断1:うつ伏せ足上げチェック
これは、腸腰筋が正常に機能しているかどうかを直接的に調べるための、非常に重要なテストです。
1.床にうつ伏せになります。顔は楽な方向に向けてください。
2.膝を伸ばしたまま、片方の足をゆっくりと天井方向へ持ち上げます。
【判定】
•正常:床から10cm以上、楽に持ち上げることができる。
•要注意:持ち上げられても5cm程度、または上げる際に腰に力が入ってしまう、お尻が一緒に浮いてしまう。
•異常:足がほとんど上がらない、または上げようとすると腰に痛みを感じる。
もし、このテストで足がスムーズに上がらない場合、あなたの腸腰筋はかなり硬くなっている可能性が高いと言えます。腸腰筋が硬いと、股関節を後ろに反らす(伸展させる)動きが制限されてしまうため、足が上がりにくくなるのです。
診断2:壁立ち姿勢チェック
次に、腸腰筋の硬化が引き起こす「骨盤の歪み」と「姿勢の崩れ」をチェックします。
1.壁にかかと、お尻、背中、後頭部をくっつけて、まっすぐに立ちます。
2.腰と壁の間に、ご自身の「手のひら」が何枚入るかを確認します。
【判定】
•正常(理想的なS字カーブ):手のひらがちょうど1枚入るくらいの隙間。
•反り腰タイプ:手のひらが2枚以上、スッと入ってしまう隙間がある。これは、腸腰筋の硬化に加え、
腹筋の弱化により骨盤が過度に前傾している状態です。
•猫背・骨盤後傾タイプ:手のひらがほとんど入らない、または手の甲でさえ窮屈に感じる。
これは、腸腰筋の拘縮によって骨盤が後ろに倒れ、背中全体が丸まってしまっている状態です。
座りすぎ腰痛の方に最も多く見られるパターンです。
診断結果の解釈
いかがでしたでしょうか。もし、診断1で足が上がりにくく、かつ診断2で「猫背・骨盤後傾タイプ」に当てはまった方は、典型的な「座りすぎ腰痛」予備軍、あるいは既に発症している可能性が非常に高いと言えます。
しかし、がっかりする必要は全くありません。むしろ、「原因が特定できた」のですから、これは大きな一歩です。
原因がわかれば、あとは正しい対策を講じるだけ。先ほどご紹介した
「シェー体操」は、まさにこのような状態を改善するために考案された、最適なセルフケアなのです。
私の書籍では、これらの診断法に加え、さらに詳細な身体のチェック方法や、
腰痛のタイプ別に特化した改善アプローチについても解説しています。
ご自身の身体を深く知ることは、腰痛改善の最短ルートを歩むための、何よりの羅針盤となります。
なぜ、今すぐ「腸腰筋ケア」を始めるべきなのか?
ここまで、座りすぎ腰痛の根本原因が腸腰筋にあること、そしてその具体的なセルフケア方法についてお話ししてきました。
しかし、私があなたに伝えたいことは、単なる腰痛改善のテクニックだけではありません。
腸腰筋のケアが、あなたの人生全体にとっていかに重要であるか、という視点です。
腰痛は「人生の質(QOL)」を著しく低下させる
腰の痛みは、私たちの生活から多くのものを奪っていきます。
•仕事のパフォーマンス低下:痛みによる集中力の欠如は、仕事の効率を下げ、キャリアアップの妨げにさえなり得ます。
•趣味や楽しみの制限:好きだったゴルフや旅行、ガーデニングも、腰が痛くては心から楽しめません。
•精神的なストレス:いつまた痛くなるかという不安は、常に心の片隅に重くのしかかり、精神的な健康をも蝕んでいきます。
•家族や友人との関係:子供を抱き上げてあげられない、友人との外出を断ってしまう。
腰痛は、大切な人との貴重な時間さえも奪ってしまうのです。
つまり、腰痛を放置することは、あなたの「人生の質(Quality of Life)」そのものを低下させ続けることに他なりません。
逆に言えば、腰痛から解放されることは、仕事もプライベートも、すべてにおいてより豊かで充実した人生を取り戻すことにつながるのです。
腸腰筋は「健康寿命」の鍵を握る
さらに、腸腰筋は「健康寿命」にも深く関わっています。腸腰筋は、歩行能力を支える最も重要な筋肉です。
この筋肉が衰えると、歩幅が狭くなり、すり足になり、転倒のリスクが格段に高まります。
高齢者の寝たきりの原因の多くが「転倒による骨折」であることを考えると、若いうちから腸腰筋をケアしておくことが、
いかに将来の自分への大切な投資であるか、お分かりいただけると思います。
腸腰筋を柔軟に保つことは、単に腰痛を防ぐだけでなく、将来にわたって自分の足でしっかりと歩き、
活動的で自立した生活を送るための「貯筋」でもあるのです。
最後に:もう、その場しのぎの腰痛対策に時間とお金を無駄にするのはやめませんか?
この記事をここまで読んでくださったあなたは、もうお気づきのはずです。これまであなたが続けてきた腰痛対策は、
根本原因である「腸腰筋」という最も重要なピースを見逃していたのかもしれない、ということに。
今回ご紹介した「シェー体操」は、その場しのぎではない、根本改善への大きな一歩です。
ぜひ、今日からあなたの生活に取り入れてみてください。そして、もしあなたがご自身の身体について、
腰痛について、さらに深く学び、より確実な改善を目指したいと本気で思うのであれば、
私の知識と経験のすべてを詰め込んだ書籍『座りすぎ腰痛は1分で治る! 腸腰筋が9割!』を手に取ってみてください。
本書には、この記事では伝えきれなかった、さらに多くの情報が詰まっています。
•あなたの腰痛タイプをさらに細かく診断し、最適なアプローチを見つける方法
•「シェー体操」以外にも、症状やレベルに合わせた多彩なストレッチ&トレーニング法
•日常生活で腰痛を再発させないための「正しい身体の使い方」(座り方、立ち方、歩き方)
•食事や睡眠など、生活習慣から腰痛を改善するためのヒント
一冊の本の価格は、一度のマッサージや整体にかかる費用と、さほど変わらないかもしれません。
しかし、その一冊が、あなたを長年の痛みから解放し、生涯にわたって自分の身体と付き合っていくための
「知恵」と「武器」を与えてくれるとしたら、それは決して高い投資ではないと、私は確信しています。
もう、効果の定かでない情報に振り回されるのはやめにしましょう。痛みの根本原因に、まっすぐアプローチする時が来ました。
あなたの勇気ある一歩が、痛みのない快適な未来へとつながることを、著者として、一人の治療家として、心から願っています。
▼書籍『座りすぎ腰痛は1分で治る!』で、根本改善への最短ルートを知る























